遙かなる時空の中で6(VITA)
《総評》
祖母の見舞いに向かう途中で不思議な力により異世界の大正時代に飛ばされた主人公・梓は、帝都を舞台に対立する鬼と軍の双方と交流しつつ蔓延る怨霊を退治する、というのが物語の始まりです。一本道のストーリーをそれぞれの攻略キャラの視点で見ていくという形式なので、下天の華に近い作りになっています。
完全個別ルートではないため、全体的にこぢんまりした印象ですが、丁寧に作られた良作でした。とにかくグラフィックが綺麗なゲームなので、PSP版よりVITA版をオススメします。
遙かといえば戦闘ですが、今作はだいぶ簡略化され、カードゲーム的なシンプルなものになりました。雰囲気は初代に近いと思います。
特に戦略性はありませんが、属性を間違えると与ダメージが少なかったり、被ダメージが増えたりするので、慣れるまでは注意が必要です。回復役も実質一人しかいませんので(中盤から雑魚敵を味方にし、回復役にすることはできます)、基本回復はなしで戦うと考えた方がいいと思います。
成長に関してのトロフィーはないので、一周目の終盤くらいで手に入る、レベル上限が高いものを各キャラ一種ずつ上げておけば何とかなります。成長はアイテムと戦闘で行いますが、アイテムの方が効率が良いです。レベルは次周以降も引き継げます。
それと今回は黒龍の神子が初めて主人公になったので、今までとは少し違う雰囲気になっています。今までの主人公が白魔道士なら今作の主人公は黒魔道士なので、癒やしより攻撃が強いです。
成長しても多少攻撃や防御が上がるだけで、何か特別なスキルが手に入るというようなことはありません。戦闘も基本的にアタックしかないので、補助や弱体など、RPGみたいなことはできません。その代わり、一定のレベルに達するとキャラのボイスが手に入ります。
戦闘が簡略化されたことで一戦にかかる時間が短縮され、さくさくプレイできるというのは長所だと思います。ですが、ただポチポチとアタックの指示を出すだけの戦闘ならなくて良いと思いました。
オススメです。特に、遙かが初めてという人にはとっつきやすいのではないでしょうか。
戦闘は改善の余地があると思いますが、それ以外の部分には不満はありません。そしてスチルが素晴らしい。キャラデザインを担当している水野十子さんが描いてらっしゃるそうです。これだけでも見る価値があると思いますが、それ以外にも背景のデザインなど、見所が多いです。
オススメ攻略順は、メインストーリーのネタバレを早く見たいなら九段、秋兵、ノーマルEDのどれかから始めたらいいと思います。逆にネタバレを回避したいなら、この3つのルートは後回しにした方が良いです。
既読スキップを使うのでしたらノーマルは二周目以降にし、ラストに余韻が欲しいなら九段をラストに回さないのがいいと思います。九段と村雨は特殊なので、攻略は後半がいいと思います。ラストにオススメなのは、秋兵、コハク、ダリウスルートです。
《キャラ雑感》
・有馬 一
ザ・朴念仁。彼のイベントは笑顔になるようなものが多かったです。愛おしい。
私は任務に忠実なまじめなタイプにあまり関心がないのですが、なぜか有馬だけはハマりました。ちょっと素朴な雰囲気があったり、長男気質なところがいいのかもしれません。私は長男が好きです。ラストの残念な感じも含めて好きなキャラです。
・ダリウス
事案の多いルートなので、好き嫌いがはっきり分かれそう。いわゆるドSキャラというのが好きじゃないのですが、ダリウスはいい意味で裏切ってくれたので最終的にはまあまあ好きな感じでした。
あとやっぱり見た目が綺麗な人なので、スチル映えすると思いました。
・コハク
ぶっちゃけてしまうと、コハクルートだけ飛び抜けてシナリオが良かったと思います。最初はこんな展開になるとは想像もしなかったけど、振り返ってみると名付け含めて運命を感じるような出会いなんですよね。
戦闘では使いにくいキャラだったけど、本当にいい人でした。
・片霧 秋兵
彼もまたダークホースで、朱雀組はシナリオが良かったです。ちょっと軽薄な発言をして道化になる、というような気の使い方をする人なのですが、これがまた優しいんですよな。作中で一番大人な人だと思います。
・ルードハーネ
照れ顔がかわゆかったです。コルダのハルくんみたいな、しっかりしていて有能な年下キャラなんですけど、最後まで有馬かルードか悩むくらい好きなキャラでした。
でもラストがなー。あのラストで少しテンションが下がってしまいました。
・本条 政虎
このルートの梓が本当に可愛かった!大事なことなのでもう一度書きますが、このルートの梓は最高だった!スチルがいいのです。
攻略的には難しいキャラでしたが、こういうキャラは珍しかったので楽しかったです。
・萩尾 九段
ハスキーな女性っぽくて、不思議な雰囲気の声だなと思いました。九段も可愛いんですよね。あまり恋愛という感じはしないんですが、何だか姉についてくる弟みたいな感じが良かったです。
でもこのルートは他のルートと違い、半分くらいストーリーのネタばらしに使われてしまったのが残念でした。
・里谷 村雨
今回のエロボイスさん。何だこの遠くからゆらゆら響くような声は…と思いながらプレイしました。他のゲームでも何度か遭遇した声優さんなんですけど、村雨役が一番好きです。
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