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Pigeon Blood

『PigeonBlood』

シナリオ   …■■■□□
システム  …■■■■■
グラフィック …■■■■■
キャラクター…■■■□□
一番好きなキャラ…橘
良い…シナリオの安定感、丁寧な仕上がり
悪い…グロ


区切り


《総評》


  • Pigeon Bloodとは、こんな話

  •  兄の急死により桐島家を継ぐことになった和樹は、各種手続きのため別荘に来ています。そこに金持ちのボンボン(悪)四人組がやってきて、傍若無人な振る舞いをするというのが物語の始まりです。この導入からのBL展開はかなり強引ですが、そこは安定のPIL/SLASH、力業でねじ込みます。金持ちのボンボンが複数で来たらそりゃBLも始まるよね、始まらないわけがない、そんな気持ちにさせられる強引なシナリオ、私は嫌いじゃありません。細かいことはいいんです。
     ではそういう暴力的な彼氏(悪)と少しずつ愛を育んでいくストーリーなのかというとそういうわけでもなく、それはどっちかというとサイドストーリーで、メインはホラーです。主人公の和樹は兄の弔いのために「ふなうち」という謎の儀式をすることになるのですが、これをやっていくうちに動物の死骸が発生したり、変な声が聞こえたり等、おかしなことが起き始めます。PIL/SLASHによる、プレイヤーにトラウマを植え付ける作業の始まりです。

     ちなみに私はコンプリートしていません。good EDとうっかり行ってしまったbad EDだけは見ましたが、わざわざbad EDを回収しようとはしませんでした。good EDルートなのにこれでもかとぶちこまれるグロシーンに震え、badはやめた方がいいんじゃないかな…と思っていたところ、「やめた方がいい」とありがたい助言をいただいたので、素直に従いました。グロが苦手な人はbadを見ない方がいいらしいです。
     神学校のグロはまあまあいけた私でもそんな感じなので、Pigeon Bloodは要注意です。世の中には知らなくていいこともあるのです。

  • オススメ攻略順

  •  攻略順はとても重要です。間違えると大変なことになるので、要注意です。簡単に分類すると、きつい…橘、美作、優しい…雪ノ宮、水沢という感じで、美作は神学校の神父枠です。美作以外は一応ラブのあるBLと言っていいと思います。
     ですので、美作を最初と最後に持ってきてはいけません。優しいキャラで挟んだ方がいいと思うので、雪ノ宮か水沢から始め、間に美作、最後に橘がいいと思います。私は橘から始めて特に問題なかったのですが、少し真相に関わるキャラなので、最後のお楽しみに取っておく方がいいような気がします。
     もう一度書きますが、美作のルートは胸クソです。死ねばいいのに…と思いながらプレイできる、斬新なルートです。

     それと、基本的に攻略対象以外は死ぬと思って間違いありません。攻略対象を選ぶということは、誰を生かすか決めるということです。例外ももちろんありますが、大抵死にます。
     いくらゲームの中とはいえ、誰かを見殺しにするという選択は心苦しいものです。そんな気持ちが序章でスッと霧散する、Pigeon Bloodとはそういうゲームです。そのための強引な導入です。このカス共から誰を見逃してやるかな、そんな気持ちでプレイするゲームなのです。
     罪悪感をプレイヤーに与えない、そしてむかつくボンボン(悪)共を見捨てることですっきりする、それがPigeon Bloodです。神学校とは全くベクトルが違います。神学校が面白かったからって迂闊に手を出すと大やけどしますので、ちゃんと情報を集めてから検討した方がいいです。

  • オススメ度

  •  神学校程度のグロがいける人限定ですが、オススメです。あれこれ書いてますが、買って良かったと思っていますし、お気に入りのゲームです。
     神学校がギリギリという人は、私みたいにbadは回収しないプレイなら平気だと思います。一応死骸の絵などはありますが、少しボヤけさせているので直接的な表現ではありません。この点に関しては神学校の方がきつかったです。ちなみにgood EDに向かうルートでも普通にグロシーンは出ますので、グロが一切ダメな人はプレイしない方がいいと思います。

     それと私みたいにbadを見ないプレイだと、ふなうちや兄の秘密が中途半端にしか分かりません。でも知りたいかというとそんなに知りたくもないかな…と思うので、とりあえずBLゲーとして楽しむなら、ひたすらgood EDを目指すだけで問題ないと思います。それでも充分面白いです。
     シナリオは各キャラごとにそれぞれ別の人が書いているので、オムニバス作品のような仕上がりになっています。一周は神学校に比べるとだいぶ短めなので、気楽にプレイできると思います。終盤の流れはかぶることもありますが、全く同じというわけではないので飽きずにプレイできました。


    区切り


    《キャラ雑感》


    桐島和樹
     思い出すのは嘔吐シーンばかりですが、とても頑張った主人公だと思います。でもそんな頑張らなくても良かったですよね…。ボンボン(悪)さえいなければ、平穏な生活を送れただろうに。でも兄がなー。彼に安住の地はあるのだろうか。中の人も大変だったと思います。
     中の人と言えば、あるルートで中身が変わったようになる演技が光っていました。あとはやっぱり嘔吐シーンかな。


    美作祥輔
     助けるという意味のある「輔」なんて字がついているくせに、助けるどころか誰かを助けが必要な状態にする悪の権化です。歯ぎしりするほど胸クソなルートですが、時が経てば許す気になるなんてこともなく、やっぱり今でも胸クソです。
     でも美作の存在がこのゲームのスパイスになっていることは、間違いありません。エンディングまで見てもまだ殴りたい、そんな攻略キャラでした。あと、CGは良かったです。でも絶許です。


    橘裕也
     この人も大概なんですけど、和樹がやられっぱなしじゃないところが良かったです。あと、苛々をギリギリ上回る程度のときめきという微妙なバランスが良かったのかな…。だいたい苛々していたんですけど、許したり、許さなかったり揺れつつ、最終的に許す、という感じでした。
     ただこれはBLだから許せたけど、男女カップルだったら許せないだろうなー。ちょっと暴力的なんですよね、橘は。和樹があまり小柄な男子じゃないから、まあギリギリ…という感じですが、基本的に暴力はいけないと思います。でも遅刻した水沢を殴った、みたいな話もあったし、暴力というよりは力が余っているんだろうなあ。相撲部屋でちょっと鍛えてもらえばいいのに。


    雪ノ宮透
     ゴルフに向かうおっさんみたいな格好の雪ノ宮さんですが、このだささも含めて好きです。このルートだけは普通のBLっぽかったです。何だか甘酸っぱい雰囲気でした。和樹が惚れている感じだったからかなあ。
     まさかこの鬼畜ゲームで、こんなほっこりした気分になるとは思わなかったです。ほぼ全くと言っていいほど、鬼畜シーンがなかったですからね。雪ノ宮ルートはオアシス。


    水沢博嗣
     癒しルートその2。正直橘とどっちか悩むくらい好きですが、シナリオ的に橘かなあと思い、好きキャラは橘にしてみました。でも水沢もかなり好きです。
     水沢ルートは本当にまろやかでした。一応いじめシーンもあるのですが、水沢自身が臆病なせいか、そんなに怖い展開はなかったです。そのせいでいまいちシナリオが盛り上がらなかった感じもあるのですが、事件解決後のやりとりのシュールさなど、見所はちゃんと用意されています。このライターさんの文章は一風変わっていて面白かったので、機会があったら別の作品もプレイしてみたいな。
     事件解決後だけで比較するなら、このルートが一番好きです。本当に可愛い。
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