華ヤカ哉、我ガ一族(PSP)
シナリオ …■■■■□
システム …■■■□□
グラフィック …■■■■□
キャラクター…■■■■■
一番好きなキャラ…正
良い…演出、キャスト、あまり見ない設定
悪い…ロードの長さ、主人公に対するコレジャナイ感
《総評》
良く言えば個性が強い作品ですし、プレイヤーを選ぶ作品といえばそうだと思うのですが、乙女ゲームが好きなら、このゲームは押さえておきたい傑作だと思います。
ただ、最初は主人公がゴミ虫扱いをされたり、攻略対象の年齢が全体的に高め(三十代、二十代、十代がそれぞれ二人ずつ+隠しキャラ一人)なので、そういう設定がどうしてもダメな人には向かないかもしれません。ですが、ゴミ虫扱いやノベルゲーム嫌いの私がスッとはまったので、案外いけるかもしれません。
絵柄が苦手じゃなければ、挑戦してみる価値はあると思います。
まず最初に一週間分の予定を決め、そこでパラメータやキャラの好感度を上げます。お休みの日には主人公を動かすモードになり、このモードでは、町の人などから依頼を受けることができます。
平日(パラ上げ)や予定の組み方はラストエスコート、お休みの日はサクラ大戦のADVモードを想像していただくと分かりやすいと思います。
シナリオは、途中までは共通ルートで、その間に攻略対象の好感度を選択肢で上げ、後半に一番好感度が高いキャラの個人ルートに入っていく、という流れです。攻略対象以外のキャラの好感度は上げず、一途にプレイしていく方がイベントを回収しやすいと思います。選択肢を失敗しても、バックログ等でやり直しが可能ですので、この辺の操作は非常に快適です。
依頼をこなすと、部屋に飾るアイテムなどをもらうことができ、ファンディスクのキネマモザイクに引き継げます。
何周かプレイするとだんだん作業感が増していきますが、苦痛に感じるほどではなかったです。どちらかというと、ロード時間が長いことの方が気になりましたが、これもプレイする気が萎えるほどではありませんでした。
主人公のはるちゃんは、良く言えば元気があって明るい、悪く言えば図々しい、という、癖の強いキャラクターです。後半になっていくと可愛らしいところも見えてきて気にならなくなるのですが、何周プレイしても序盤はやっぱりイライラすることが多かったです。
主人公の立場は使用人で、攻略対象は雇い主の息子達なので、例えるなら、お店の従業員=主人公、お客=攻略対象、ということになると思います。そのお客同士の会話に平気で割って入ったりする従業員って普通はいないと思うのですが、主人公はそういうことをしてしまうんですよね。しかも何度注意されてもしてしまうのです。
おや、これは頭の中に消しゴムがある女の子なのかな、と思うほどに覚えません。そのおかげで坊ちゃま達の印象に残る、という演出なのだと思いますが、プレイしている私にとっては、当たり前のことができない人という印象しか持てなかったので、かなり違和感を感じました。
空気が読めないだけなのかなと思いきや、意外と坊ちゃまを落とす気満々なイベントもあり、図々しさに呆れたりもしましたが、これはゴミ虫扱いをされる主人公を気の毒に思わないで済むために制作者がわざわざ用意した、高度なテクニックなのかもしれません。
そんな主人公のはるちゃんですが、後半は普通の可愛い女の子になりますので、エンディングはどのキャラのルートも楽しく迎えることができます。
ストーリーはどのキャラもそれぞれ特徴があり、納得いかない展開もイライラする展開もあったのですが、こうやっていろいろ感じるということは、それだけ設定がよくできていて、物語に入り込めたということだと思います。
ところで、全てのシナリオにおいて、父親である当主がラスボス的に立ち塞がるのですが、これは当主が自分を憎まれ役にすることで、兄弟の団結を深めたかったのではないでしょうか。どのキャラのストーリーでも、最初はギスギスしていた兄弟が、最後は父親という巨悪に立ち向かうために団結し、物事を解決していくんですよね。
身分違いの恋なんていうロマンチックな設定をベースにしているのに、この辺のノリが少年漫画っぽいと言いますか、オトメイト版セ○ント☆矢だなと思いました。そんなわけで、私はこの当主をあまり嫌いにはなれませんでした。
何だかんだ言って子供達は贅沢な暮らしをさせてもらい、お金も自由に使えて気ままに振る舞っていますから、はるちゃんに比べると遙かに楽な暮らしをしているんですよね。確かに一般的な親の愛情は受けずに育ったかもしれませんが、お金に不自由をさせないという形の愛情なんじゃないかなと思うので、あんまり当主を恨んでやるなやと思いながらのプレイでした。
《キャラ雑感》
・正(長男)
もともとこの人目当てで購入して、全キャラプレイ後、やっぱりこの人が一番のお気に入りです。
皮肉屋で、自分以外はバカと思っていそうで、冷たい感じなんですけども、不器用で、結構地味で、おっさんで、根はいい人で、ドストライクです。プレイ中、変な声が漏れるほどに可愛いです。
はるちゃんが冬にある物をプレゼントするのですが、プレゼントしたものも、それに対する正の反応も、何もかもが可愛かったです。幸せになればいいじゃないのよ…と満面の笑みで思いました。
シナリオ的にはマイルドというか、あまり悲惨な展開もなく、謎が解決するわけでもなく、正自身が大人なのであまり心が揺れることもなく、淡々と進んでいくのですが、それが正っぽくて良かったと思います。はるちゃんとは身分違いの恋で、それに関して一番まっとうな受け止め方をしていたのもこの人じゃないかな。正にとってだけでなく、はるちゃんにとっても身分を超えたつきあいは難しいと分かっていたんだと思います。
わりと抜けたところもあるのですが、常識的なキャラなんですよね。それだけに最初のゴミ発言は不思議で仕方ないです。あれってインパクトを与えるためにそういうシナリオにしたんだろうけど、ちょっとキャラ崩壊な感じがするなー。
まあでも、冒頭の勇とのギスギスしたやりとりなどを考えると、あれもまた正の一面なのかな。
・勇(次男)
糖度が一番高いと噂の次男ですが、糖度云々より、なにこの体育会系の上下関係…って感じのプレイでした。勇はどうももともとのキャラ設定としては冷酷らしいんですけど、最初から全くそういうキャラではなかったです。
最初はツンツンしたわがままな人なんだなと思い、途中でママ大好きの甘ったれであるなと思い、最終的に犬タイプというところに落ち着きました。この人のすごいところは、母親や正など年上の人に対してだけでなく、年下の兄弟にもわがまま放題なところです。大人げないです。でも本人はガキ大将的というか、みんなを引っ張っているくらいに思っていそうなところが微笑ましい。
きれいなジャイアンみたいな人です。花火の時に、はるちゃんの首がゴキッてなったのには爆笑しました。
・茂(三男)
ちょっとおねえっぽい感じの三男ですが、シナリオはかなりシリアスで病んでる系でした。
このルートの当主は一番ひどいってよく言われるみたいですが、当主は茂が一番可愛いんじゃないかなあ。茂の無気力な感じというか、投げやりなところをどうにかしようと、荒療治に踏み切ったんじゃないかなと思いました。
茂も可哀想な事情がある人ですが、はるちゃんのプレゼントを投げたことは全編通して二番目に腹が立ったイベントだったので、あまり同情する気にはなれませんでした。まあ妹に良くしてくれたことで帳消しにしてあげるけどな!それと、女装はあまり似合っていないと思います。面白かったけど。
・進(四男)
腹黒系ですよね、分かってますよなんて思いながらプレイしたら、まさかの展開に驚きを隠せませんでした。最初は全く関心がないキャラでしたが、プレイ後は株がぐっと上がりました。
声もいいんです。雑誌のインタビューでも共演者の方に言われていましたが、兄よりも声の低い弟なんですよね。多分兄弟で一番声が低いんじゃないかなあ。その辺が大人な感じでいいんですけども、まさかあんな展開に…。病んでると言えば病んでるんですけど、病むというより覚醒って感じがしました。まさかおとなしそうな進の中に、こんな人格がいたなんて…!
次男はよく進をこきつかってましたけど、復讐されるんじゃないかとハラハラしました。次男としてはこきつかっているんじゃなくて、一緒に遊んでやったくらいの感覚だろうけど、迷惑なことばかりしてましたからね。良くないよ、次男!みんなに謝りなよ、次男!
しかし進に迷惑をかけるのは次男だけでなく、母親もでした。おっとりしていてどこか抜けた人って感じなのですが、身の回りのこともよくできないようで、それを進があれこれやってあげてる感じなのです。それでも進は大事にしているので、いいところもあるんだろうと思っていたのですが、進が困っている時にもあまり手助けしてる感じじゃないんですよね。
進を人に頼らない、自分で立てる子にしたかったのかもしれないけど、自分は些細なことまでできないーやってーって感じなのに、進の重大な危機に対して見てるだけってちょっとどうなの…って感じでした。私は進の母親が母親達の中で一番苦手なんですけど、すごくリアルな母親像だなあとも思いました。とりあえず、なくしたものを「どうしましょう」じゃなく、自分で探すことから覚えて欲しいです。
・博(五男)
デヘヘ笑いのお坊ちゃま。家柄的に長男の正と並ぶか、それ以上の上流階級の血筋です。
天真爛漫で天才型、マイペースに自分の好きなことをやるけれど、何でもできちゃうのですぐ飽きる、みたいな人なんですが、私が全編通して一番イライラしたのがこの人のシナリオでした。性格はいいし、他キャラルートでも友達みたいな感じで優しいのですが、この人、何でも自分勝手に決めちゃうんですよね。はるちゃんはそれに振り回され、さんざんかき回された挙げ句に最後、「海外に数年住むからお別れだよ!」って勝手に言って勝手に去って行っちゃうんですよね。
ないわー…。
博みたいなタイプって、戻ってきたらまたつきあおうとか言っていても、普通に海外で恋人ができて結婚し、日本に戻ってきて「僕の奥さんを紹介するよ!」とか言っちゃう感じだよなあ。無神経なんだろうな。最後のプレゼントもいりませんので、と真顔で思う乙女ゲームなんて新しすぎる。掃除機だけはもらっておくけどな。
・雅(六男)
このゲームのダークホース。進と雅はいい意味で裏切ってくれた人でした。一番意外だったのは進だけど、シナリオ自体は暗かったので、別に楽しいものではなかったんですよね。そこで六男ですよ。
気持ち悪いとか、虫とか、死んじゃえとか、お弁当を持って行ったらガシャーンとかやりたい放題の彼ですが、あまりにも非現実的すぎて逆に面白かったので、普通にプレイできました。一番笑ったのは、はるちゃんで初めて異性を意識した辺りです。
それまで「女とか気持ち悪いし」(この「気持ち悪い」っていうセリフの言い方がまたすごく可愛い)と言っていたのに、はるちゃんのことは気持ち悪くないんですよね。HAHAHA。こやつめ。その後も彼から発する淡い恋心に戸惑いながらプレイを続けていたら、舞踏会で事故チューをしてしまい、その結果、「結婚した方がいいんじゃないか」と言い出した雅ですよ。
速報:雅、血迷う。
ショタが苦手な私ですが、これはいい年下キャラでした。はるちゃんのずけずけ踏み込む図々しいところが、逆にこの意地っ張りな雅というキャラにうまく合っていて、ちょっととろいお姉さんと出来がよくて人付き合いが下手な弟、という感じでした。
母親も可愛いんですよね。やっぱり雅も母親といろいろあるんですが、この親子は似ていると思います。根は善人なのに、我が儘で甘ったれで、わざと相手を怒らせるような言い方をするところがあるんですよね。でもはるちゃんに対して良くしてくれたし、はるちゃんの身の振り方も他のキャラのルートよりいいと思いました。いろいろな障害を現実的な方法で解決していく雅は、年下キャラなのに最も優秀で頼りになる人でした。
私は彼のシナリオが一番好きです。最初に見た時は、おかっぱとフリルとな…と思いましたが、プレイ後は彼の性質とよく合っていると思いましたし、一番面白いキャラでした。
当主になるのは、雅がいいと思います。
・隠し
意外とエロかったです。兄弟を攻略していればこの人の素性は何となく分かると思うので、特に新鮮な驚きはなかったのですが、エロ可愛かったので満足しました。
突っ込みどころは多いんですけどね!結局この人、すごく寂しがりのかまってちゃんなので、唸りながら尻尾を振ってる犬を相手にするみたいな感じで接しました。
あと、キャラのデザインが一番好きかなあ。色気のあるデザインだなと思います。
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